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シンポジウム 2014

 

日本における「美術」概念の再構築

Toward Updating the Concept of ‘Bijutsu'(Art) in Japan

 

〈2014シンポジウム〉

【開催趣旨】

この研究は「美術」概念と、それにかかわる分類のアップデイトを目指しており、この結果「美術」の専門語としての位置を覆すような根本的な再編をも予期している。例えば、現在の日本では、しばしば「美術」に代わって「アート」が用いられているように。
美術品の分類はその収集とともに、古今東西において必要とされてきた。美術品の分類は、これまで――たとえば「絵画」の下位に「日本画」と「洋画」が配置されるような――体系性をもつものであり、美術史も、おおむね体系的分類にしたがって叙述されてきた。しかし、今日のデジタル技術を用いた検索は、かつてのような体系性を必ずしも要さないし、また、検索者各人の体系性が並び立つような事態も想定される。このため、各種の分類が互いに正当性を主張する「分類闘争」(P.ブルデュー)が頻発する状況の到来も予想されもする。このような分類の変化は、とうぜん分類観の変化を生みだし、アロー図式、セミラティクスのような新たな分類の在り方が注目されはじめている。
博物館学も美術史と同じく体系的分類を基礎としているが、新たに「美術」の名のもとにアヴァンギャルド、オルタネイトが次々に台頭することによって、従来の体系によっては「美術」の現状を捉えきれなくなっている。
こうした状況を踏まえて、このシンポジウムは、「美術」諸ジャンルの分類と、「美術」というジャンルを問題化し、今日的視点から、そのありうべき姿をさぐることを、第一の目的としている。
「美術」という日本語は翻訳を介して19世紀末に造語された。それは16世紀以降のヨーロッパ文明の東漸の成果であり、西洋は政治、経済の世界制覇に基づいて分類闘争でも勝利したのであった。しかし、「地方固有の知」(C.ギアーツ)による分類が消滅したわけではなく、造型の現場に生きる者たちは両者の生み出すモアレのなかで創作にいそしんできた。植民地では、解放によって国民国家形成が進められたので、この創造の桎梏は解放後に顕在化した。いわゆるポストコロニアル状況である。
「地方固有の知」は、例えば日本における「日本美術の特質」(矢代幸雄)といった発想から主張されたように、本質論的な固有性に由来するものではなく、東アジア文化圏の交流や海のシルクロードによるインド、アフリカそして西欧との交流のなかから形づくられたのであり、他の地域でも同様であったに違いない。異なる言語の間の交流は単に語の置き換えにとどまらず、文化自体の翻訳受容を必要とする。すなわち、語の背後にある語彙の構造もしくはそれを成り立たせる「推論のスタイル」(I.ハッキング)の翻訳である。語彙という体系的(系統的)分類を成り立たせる概念と概念の関係づけの在り方の相互理解が必要なのだ。
コンピュータ利用は限りなく分類体系を相対化してしまったが、検索が語を用いる限り、その背後の語彙と語彙を成り立たせる分類のスタイルを無視することはできない。このような観点に立ったとき、美術における分類はどのような変貌を遂げるであろうか。

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 シンポジウム前半ポスター.pdf

デザイン:西岡勉

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訂正とお詫び

上記ポスター(同チラシ)に誤りがありました。
訂正箇所 ユーストリーム中継を予定:http://ustre.am/1ilfp
正しくは ユーストリーム中継を予定:http://ustre.am/1ilFp
となります。ご迷惑をお掛け致しますこと、お詫び申し上げます。

 

 シンポジウム後半ポスター.pdf

デザイン:西岡勉

下記のURLにてシンポジウムのLIVE映像を配信致しますので、是非ご覧ください。

 http://ustre.am/1ilFp

 

【開催日程】

第1回

日時:2014年11月8日(土)10:00‐17:00
場所:福岡アジア美術館あじびホール(120席)
テーマ:1.「美術」にかかわる分類の検討―漢字文化圏を中心に
Examining Taxonomy relating to Art in the Cultures which use Chinese Characters
テーマ概要:
15世紀以降のヨーロッパ人による「地理上の発見Age of Discovery」(大航海時代)に発するグローバリゼーション状況のもとで、漢字文化を共有する東アジア地域に惹起された分類闘争の経緯を歴史的観点から検証する。これにあたっては、日本を主たるフィールドとしながら、アジアの他地域での研究成果や実践との比較、検証を行う。さらにそれらの経緯をふまえて、美術においてグローバルとローカルが確執しつつ融合する現在に立ち至ってきている現況までを検討する。このため、美術館における古美術系収蔵品の分類やアジアにおける新たな美術史像創出への模索までを視野に収め、「地方固有の知local knowledge」と近代知との接合、闘争の根幹と進展に焦点をあてる。
発表者:
山崎剛〔金沢美術工芸大学・教授〕
鈴木廣之〔東京学芸大学・教授〕
林育淳〔台北市立美術館・学芸員〕
堀川理沙〔シンガポール国立美術館・学芸員〕
佐藤道信〔東京藝術大学・教授〕


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第2回

日時:11月9日(日)10:00‐17:00
場所:福岡アジア美術館あじびホール(120席)
テーマ: 2.「美術」の脱植民地化―グローバル化の中で
Decolonisation of ‘Art’ within the Context of Globalisation
テーマ概要:
植民地支配から、第二次世界大戦後のポストコロニアル状況を経て、冷戦体制崩壊後の新たなグローバリゼーション状況化に至る分類闘争の経緯を、アジア諸地域からの視点で捉えかえす。ここでは、それらを「大地の魔術師」展などヨーロッパ美術界による新たな視点の提起から、それらに対する異論を経て、福岡、シンガポール、光州、ソウルなどで実際にアジア美術界が提起しようとしてきた近年の試みの意義と意味が提起されるので、このテーマをより具体的実践的な課題として検証し、議論することができる。ここからこそ、アジア地域の我々にとって、もっとも切実で根底的な「美術」が見え始めるに違いない。
発表者:
後小路雅弘〔九州大学・教授〕
吉田憲司〔国立民族学博物館・教授〕
S.H.ムスタファ〔シンガポール国立美術館・学芸員〕
金仁惠〔韓国国立近現代美術館・学芸員〕
岡田裕成〔大阪大学・准教授〕


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第3回

日時:12月6日(土)10:00‐17:00
場所:金沢美術工芸大学視聴覚室(154席)
テーマ:3.同時代美術の動向と美術館―「美術」のオルナタティブをめぐって
Museum and Trends in Contemporary Art: Alternatives to ‘Bijutsu’(Art)
テーマ概要:
近代以降に構築された「美術」に関する分類は、美術それ自体の在り方の変化によっても揺さぶりをかけられている。前世紀以来、従来の分類体系を以てしては捉えきれない諸活動が、「美術」の名のもとに次々と出現して今日に至っているのだ。アヴァンギャルド、あるいは美術のオルタネイトの台頭である。同時代の、このような美術の有りようは、美術の分類を問題として浮き立たせるばかりではなく、「美術」ないしは「芸術」という基本的な分類にまでも揺さぶりをかけずにいない。これらの語に変えて「アート」という語が用いられることが多くなっているのも故なきことではないのである。このセクションでは、こうした状況が「美術」の分類に如何なる影響を与えているかを、作家とキュレーターの発言によってあぶりだすことを目指す。美術の現場と美術館の現場における分類闘争のライヴ・レポートである。
発表者:
北澤憲昭〔女子美術大学・教授〕
福住廉〔美術評論家〕
白川昌生〔作家〕
加藤弘子〔東京都現代美術館・学芸員〕
植松由佳〔国立国際美術館・学芸員〕
住友文彦〔アーツ前橋・館長〕


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第4回

日時:12月7日(日)10:00‐17:00
場所:金沢21世紀美術館シアター21(156席)
テーマ:4.「美術」概念の再構築―翻訳と変容―
Updating the Concept of Bijutsu(Art) : Translation and Transformation
テーマ概要:
1~3の課題を翻訳と変容という観点から捉えかえし、デジタル・テクノロジー以後の時代に美術をどう把握するのか、その方法、領域、問題意識を模索する。このため、美術以前の造型意識の有りようを探り、アジア地域における美意識とその体系化を検証する。こでは、それらをアジアでの美の原存在の検証や19世紀ヨーロッパにおける日本美術の「発見」とその認識がうんだものの検証によって、その具体相とそれが孕む課題を浮かび上がらせようとする。これに基けば、美術の近代が抱え込むことになる問題状況の大枠を確認することができるであろうし、さらには近代以降に「美術」が受容された地域において、展開させたことの基盤を捉える議論に発展させることもできる。それこそはグローバリゼーション下における「美術」にとって、もっとも緊喫の課題とせねばならない。
発表者:
森仁史〔金沢美術工芸大学・教授〕
並木誠士〔京都工芸繊維大学・教授〕
渡辺俊夫〔ロンドン芸術大学・教授〕
山梨絵美子〔国立文化財機構東京文化財研究所・企画情報部副部長〕
P.フロレス〔マニラ大学ヴァルガス美術館・館長〕
稲賀繁美〔国際日本文化研究センター・教授〕


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